○前回のあらすじ
荒む生活に歯止めがかからない堕落した引きこもり気味大学生望月は、オヤツのお芋に黴をはやした。
彼の犠牲は、望月に忘れかけていた大切なもの『賞味期限』の意味を思い出させた。ホットケーキに現を抜かしていた望月は、鶏肉の存在を思い出し、賞味期限を一日過ぎながらもそれを完食することに成功する。
しかし、まだ危機は去っていない。我に返った望月は、ルクチェのもとへひた走る。食べごろが難しいことに定評がある彼は、保存方法が悪かったせいか、熟さずに腐敗を始めていた。
その身の半分を毒に置かされたルクチェ。半身を食べるが固い。ホットケーキと合わせれば食べられるかと思ったが、そのまずさは変わらない。
絶体絶命の望月の前に、姉という救世主が現れる。加熱という最大の武器を手にした望月は、見事半死半生のルクチェをおいしく食べることに成功した。しかし、まだ危機は去っていなかった。
残されたルクチェを掬うべく、望月はエチレンガス効果に全ての望みをかけて、ルクチェの箱にリンゴを投入するのだった。
彼らが、とろけるような口触りのルクチェに成長してくれる事を祈って。
水菜をベースに、オリーブの実、洋梨にくるんだルクチェにオリーブオイルと粗挽き胡椒を加えて作るサラダを食す日を目指して望月の戦いは続く。
今日のお話
朝、ご飯を炊くのを忘れたという致命的な失敗に気づいた望月は、偉大なるホットケーキが残していった仲間、卵と牛乳の力をかりて、なんちゃってフレンチトーストと目玉焼きを作ることに成功する。
賞味期限の傷跡は未だ大きく、手遅れのルクチェを加熱して消費した。
そんな望月の昼食は、映画館で買ったキャラメルポップコーンであった。だが、その空気をたっぷりと含んだお菓子がもたらした効果か、帰りの電車で俄に胃を痛くする。
座席に座るとまどろみ始める望月の頭にあるのは、カレーのことであった。
スーパーで鶏肉と牛乳を手に入れた望月は、ほうれん草カレーを作り始める。
実家から届いた化け物のような大きさのキャベツと、おいしい薩摩芋を弁当に詰め込みいまじっくりとカレーを煮込みだすのであった。
目の前にあるのは、賞味期限切れかけの肉などではない。買ってきたばかりの、鶏肉だ。
しかし、望月は気づいていなかった。
鞄にそのまま突っ込むというワイルドな方法で、連れ帰ったポップコーンがまだたくさん残っているということに。
いま、炊飯器がご飯の炊き上がりを告げた・・・。